みんな、同じ。


私は、言われた通りに着替えを済ませて、部屋を出た。

階下からは、楽しそうな声が聞こえる。

この家で、こんな楽しそうな声が聞こえるなんて。
そんなの初めてだった。

動け、動け、私の足。
下に降りるの。

これ以上、だれかに心配なんかかけたら、ダメだよ。

目を瞑って、一歩を踏み出した。

「………っ!?」

鈍い音を立てて、足を踏み外した。

目を開けると、天井が見えた。

あれ、転んだ、のかな。

下から、どたばたと音が聞こえる。

「久世さん!?」

変なの。
同じ家で同じ苗字なのに。
苗字で呼び合う私達。

そして、真っ青な顔。

私は、笑った。


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