みんな、同じ。
部屋に入ろうと、ドアノブをひねった時、階段を上る足音がした。
階段の方に目を向けると、荷物を持った久世くんがいた。
…そうだ。
久世くんもここに済むんだった。
「空いてる部屋って、どこか分かりますか?」
申し訳なさそうに、頬をかきながら、久世くんは私に聞いてきた。
たしか、私の部屋の隣の隣…
奥が空いていたと思う。
隣は、物置みたいになってた。
そして、奥の部屋を指差した。
「ありがとう」
私はコクリと頷いた。
「いきなりで申し訳ないけど…
よろしく」
手を、差し出された。
あの、細長くて綺麗な指だ。
私は戸惑うことなく、その手に自分の手を重ねた。
不思議。
この人は、ちっとも怖くない。
顔を上げると、嬉しそうに微笑む久世くんがいた。