染まる
第二章 誘惑

退屈な授業も終え、廊下へ出ると。
今朝の二人のヤンキー男が居た…

『これから慎吾の家行くんだけど、一緒に来ない?』

純とやらが誘ってきた。

べつにいいけど、何かあるんですか?

『何も無いけど。とりあえず、来いよ!』
純は、はにかみながら私に言った。

今日一日で、クラスの奴らに純の情報は聞いてもいないのに私の耳に入っていた。
純は、この中学では有名な不良で。
小学校の頃から、先輩にも後輩にも憧れの存在らしい。

私は純の、はにかむ顔と。
クラスの奴らの眼差しに後押しされたのか?
ついて行った。

純は、私を自転車の後ろに乗せて。
校庭を突き抜け
楽しそうに学校を出て行った。

自転車で5分くらいの距離だったが、純の肩につかまり。
純の背中に胸が当たらないように…。

内心、ドキドキしていた。
純の短ラン、金髪、時々振り返る横顔…。
ドキドキが止まらない。

そんな事を考えてるうちに、慎吾の家に着いた。

慎吾は割と無口な性格で、野球部らしいが。
ほぼ部活も出てないらしく、喧嘩は強いらしい。(クラス情報)

『まぁ、上がれよ。』

お邪魔します。。。

慎吾が無言でオレンジジュースを持ってきた。

慎吾の家はマンションの一室に両親と兄四人暮らしらしい。
昼間は両親は仕事で不在。
兄も高校へ通ってるらしい。

そんな事より、純の事が気になった。

純は私に『ゆきちゃんだっけ?お前やるなぁ(笑)初日早々まちこボコボコにしたんだって?(笑)まちこが昨日、俺に泣きついてきたよ。』

あ。はい。

『ゆきちゃん、俺の事どう思う?』

(何だ?この唐突な質問は!)

いや…。わからないです。

『俺。ゆきちゃんが初登校の日、偶然なんだけど非常階段から見てたんだよね。実は(笑)』

はい。。。

『俺、非常階段で煙草吸ったり昼寝したりするんだけど。あの日ゆきちゃんの髪の色、黒い革靴が印象的で。まちこに、その話したの俺なんだ〜!』

えっ?

『ゆきちゃん、ごめんな。でもまさか!まちこボコボコにしちゃうなんて(笑)』

すみません。。

『謝るなよ!強えーもんは強えーし、まちこは負けたんだからよ(笑)だから昨日泣きついてきた時。ゆきちゃんに詫び入れろ!って言ったんだ。。。まちこは中途半端な不良気取りなんだけど、一応うちらの学校の女では怖がられてるヤツなんだ。』

へぇ。。。

『まちこにも昨日言ったんだけど、ゆきちゃん俺たちの仲間に入らない?』

仲間?何ですか?それ。。。

『一応、あの学校にも俺たちみたいな奴らが居て。三年一組の亮介さんが頭なんだけど。これから来るから挨拶してよ!亮介さんにゆきちゃんの話したら、すげー会いたがってさ。それで呼んだ訳』

(何だ?この話の展開は。。。)

その話が終わった頃。
外から爆音が聞こえた…

『あ!来た来た!』
純がそう言うと、爆音の音が消えて。
しばらくすると玄関から男と女が入ってきた。

『おはようございます!』
純と慎吾が挨拶した。

私も一応、頭だけ下げた。。。

『ゆきちゃん。亮介さんと彼女の弘美さん!』

どうも。ゆきです。。。

亮介さんは純とは、また違う感じのイケメン!
彼女の弘美さんも金髪にゆるいパーマをなびかせ、赤い口紅をつけた美人だった。
『あ、この子?まちボコった子』
純『はい。可愛くないっすか?』

(可愛い。。今、純。私の事、可愛いって言った?)

亮介『ゆきちゃんだっけ?俺、亮介ヨロシクね!』

ヨロシクお願いします。。。

亮介『で、どこまで話進んでんの?』
純『とりあえず、説明はしたんすけど。まだ返事は貰ってないっすね。』

亮介『ゆきちゃん。話聞いたよ!喧嘩強いんだって?見ない顔だけど、転校生なんだって?』

はい。

純『ゆきちゃん無口なんすよ!』
亮介『いいじゃん!気に入ったよ!なぁ弘美!お前面倒みてやれよ!』

弘美『わかった。』

よくわからないが、私はこの人達の仲間に入らされたらしい…。

亮介は長居せず、帰り際に私の頭を手の平でポンっと叩いて帰って行った。
爆音と共に…。

『そんな訳でゆきちゃんは、仲間だから!何かあったら言えよ!』

はい。

半ば強引に入らされた謎の仲間。。。

今思えば、この日が私の人生最初の分岐点だったのかも知れない。。。






< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop