染まる
第三章 恋心

あの日から、毎日のように。
慎吾の家、純の家、亮介さんの家へ集まるようになった。

私は、いつからかクラスの奴らから一目置かれる存在になっていた。

亮介さんの彼女、弘美さんに化粧をしてもらったり。
明らかにヤンキー女が着るような洋服を貰った。
弘美さんは亮介の一つ上、高校には進学しなかったらしい。

私もみんなのくだらないバカ話や、他校との喧嘩、休み時間にバカ騒ぎ…。

心から楽しむようになっていた。

そんな日々をおくって季節は夏になった。

ある熱帯夜。
自宅に純から電話が掛かってきた。

もう夜の10時頃…。

『ゆき、今から学校来いよ!』

いいけど。。何?

『今日、暑くね?とりあえず校門前な!』

と、一方的な電話。

私は自転車で学校へ向かった。

そこには、純、慎吾、亮介、亮介の友達のハチ(蜂巣だからハチ)弘美さんが集まってた。

『よし!行くぞ〜!』

私はみんなの後を着いて行った。

(プール⁈)

みんなは学校のプールのフェンスを乗り越え、パンツ一丁でプールへダイブ!

純が『ゆきも入っちゃえよ!』
と、無邪気な笑顔でプールサイドに座ってた私の手を掴んでプールへ落とした!

きゃー!!

洋服のままびしょ濡れ(笑)

(気持ちい〜!)

『ゆき、俺の背中乗れよ!』

うん!

純は私をプールの中で、おんぶして泳ぎ始めた。

辺りは真っ暗、外灯でうっすら純の顔が見えるくらい。

ギャーギャー騒いでる仲間から、ずいぶん離れた所まで泳いだ。

もう仲間達が見えない距離。。。

ふと…純が背中に乗せてた私を下ろした。。。

純は、不意に振り返り。
私をお姫様だっこした…。

何?
投げないでよー!

なんて言った途端。キス…。

(ちょっと…冗談でしょ。。)

『俺、ゆきが好き。』

えっ?

『ゆきは?俺の事…好きなのかよー!』

好きだよ。。

(出会った時から…。)

それを聞いた純は、もう一度キスした。
私からもキスをした。

『おー!俺たち、付き合うぞー‼︎』

純は遠くに居る仲間達に叫んだ(笑)

あの暗闇の中でも、純と私が幸せな笑顔をしていた事は。
お互い分かってた…。

あの塩素の味がしたキスは、忘れない。

これが恋心なんだ。。。











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