プライド捨てて愛に生きますけど、それがなにか?

(2)愛で試練の山はこえられるか



「ミカはね、学年30位以内に入るくらいの男じゃないと眼中にないって」






……ほんとうに俺は死んでしまうかもしれない……。







「うわまだやってるよキモガリ勉」
「目の下のどす黒い隈、あれ病気?さいきん昼飯も食ってないけど大丈夫なの、あの子」
「けど湯江が勉強してても全然焦らねぇーよな、実際。あんなガリ勉してるクセにこのまえの小テスト追試食らってたし」
「あはは、まじ馬鹿じゃん。あいつの単細胞じゃ、焼け石に水だな。多少勉強したところで」



--------三馬鹿め。あいつらマジコロス。



俺が学業の神さまだという『ゆしまてんじん』のありがたいえんぴつ握り締めたままゆらりと立ち上がると、これ見よがしの集中砲火がはじまる。


「あっれあれー、なに俺らの話聞いてるんですか」
「っつうか聞こえてたってことは全然集中出来てないんじゃん?」
「えーそれでガリ勉とか意味なくね?」
「湯江くん無駄な努力ってこと?喧嘩してる暇ないんじゃないんですかー?もっとお勉強してくださーい」


むむむむむっ。

こいつら嫌味のスペシャリストか、専門職にしやがれ、そして路頭に迷うがいい。
拳顔面にめり込ませてやりたい!けど、こいつらのいうこと一理ある。


「あれま。湯江引き下がったよ」
「やばくない、勉強のしすぎであいつおかしくなったんじゃね?」
「ほっとこうぜ、キモガリ勉なんて」






まーそんなわけで。
お夜食にラーメン食えば眠気のあまりどんぶりに顔突っ込んでスープの海で溺死しかけたり、眠気覚ましにコンビ二までコーヒー買いに行ったらその場で寝こけておまわりさん呼ばれてしまったり、


マイマミーがうちの子苛められてるの睡眠障害なのストレス抱えてるのと騒ぎ出すくらい、寝食その他もろもろマミーの親心まで犠牲にして勉強に励んでみたりしたわけですが。




きっかり30位。







「なぜだああああああああっ」




ただし下から数えて、ね。






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