桜の木の下で-約束編ー



とりあえずエスカレーターで、
6階から寄ってみようと歩いていく。




エスカレーターに乗って、
順番に降りながらぶらぶら。





あぁ、この服いいかも。



なんて……隣で和鬼が着てる姿を
想像しながら順番にぐるりと回っていく。





和鬼と出会う前には……
こんな楽しみなかった。




せいぜい……トキメキもなく、
お祖父ちゃんの服を選んで
買って帰ってただけ。



「まぁ、咲。
 素敵な組み合わせでしてよ」

「YUKIなら、
 こちらも捨てがたくないですか?

 司、いかが?」



メンズフロア。


和鬼の服探しに花を咲かして
盛り上がる私と一花先輩。


司は服のポケットに
少し手を突っ込んで、
肩を竦めながら
ちょっとウンザリした
表情を見せてる。



YUKIの為の服なのに、
一花先輩は、取り出した服を全て
司にあてて考えていくもんだから、
つき合わされる司もたまったもんじゃない。



そんな姉妹の風景を見つめながら、
私も和鬼の服探しを再開する。


デザインシャツや、
デザインパンツを
片っ端から覗き込んでは物色。


YUKIの時間は、
YUKIのイメージで、
黒を基調にして大人びた
雰囲気を醸し出してるけど
等身大の和鬼は、そんな印象が
まったくないから。




真っ白の
ドレープのシャツに、
ちょっと色味のあるデザインシャツ。

首もとには……
天然石のワンポイントアクセ。

下は……
シャーリングパンツ。


こんなコーディネイトで
一式をお買い上げ。





お財布の中身が旅立ってしまったのは、
ちょっぴり悲しいけど、
それはお菓子を我慢したらいいんだー。



お菓子を我慢したら
新たな和鬼が見れる。



だったら、その方がいい。



なんて自分に言い訳しながら
プレゼント包装して貰った紙袋をぶらさげる。



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