桜の木の下で-約束編ー




……和鬼……。




ようやく会えた……。



やっと会うことが
出来たのにどうして
そんな不器用な生き方しか出来ないの?



「咲鬼姫さま……」


私を抱えた珠鬼が
気遣うように声を発する。



ツツっと瞳から零れおちた涙。






和鬼が見せた一筋の涙が
今も視覚に刻まれている。





和鬼……。






刹なの憶(おもい)。



和鬼を感じるたびに
心が震えていく。







私は貴方のために
何がしてあげられる?





この世界に来てから
何度も何度も問いかける
答えのない答えを
今日も問い続ける。



和鬼を思いながら。
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