桜の木の下で-約束編ー
桜鬼のボクは、
和鬼の心を殺した。
和鬼の名を借りて
人の世へ焦がれる。
せめて咲鬼姫の魂がその世界へ転生するまで
見届けたいと。
それが……桜鬼であるボクが和鬼へ出来る
唯一の罪滅ぼし。
和鬼と桜鬼。
二つの指名を帯びた相容れない鬼。
和鬼の愛した親友(とも)を
摘み取った忌み嫌われ続けた鬼。
一番身近にいる和鬼にすら疎まれ続けたボクは
行く場所もなく、行き倒れて咲久の温もりを知った。
皮肉にも、咲久の孫として
この世に生まれたのは、
あの日、桜鬼のボクが鬼の世界から追放した
和鬼の最愛の想い人。
和鬼を想い、桜鬼(ボク)を想い、
愛されることを求め続ける
壊れそうな少女……咲。
その咲は……ボクを受け止めて
包み込んでくれる。
ボクの居場所をくれた。
だけど、どれだけ、年月が過ぎて行っても
鬼の世界の誓約は変わることはない。
桜鬼神として、
ボクが神を拝命したその日から。
☆
1.同族に悟られてはならぬ。
1.同族に情けをかけてはならぬ。
1.正体を悟られてはならぬ。
1.人と鬼の境界を守る
守護神となれ
1.任務遂行を目撃されたものは
そのものから関わりし記憶の全てを
消すべし
1.国王がその職務を放棄したと
判断したその時……
王に審判を下せし唯一のものなり
☆