桜の木の下で-約束編ー
12.闇にさす光 -咲-
何処?
気が付いた場所は、
見知らぬ場所。
ただ暗闇だけが広がり続ける
闇の世界。
真っ黒に覆われた分厚い霧は
視界を遮り、瞳に何を映すこともしてくれない。
暗闇の中、私の両手足には
重い枷のようなものが
つけられている感覚だけが残っていた。
(殺せ。
私の為に殺せ)
心の中に直接流れ込んで来るように
寄り添い続ける言葉。
その声が届くままに
動き続ける私自身の体。
目の前の存在に、
言われるがままに短刀を抜いて
斬りつけていく私。
その存在を守るように、
桜の花弁がターゲットを包み込んでいく。
桜の花弁が一つ。
私の髪に舞い降りた時、
ふと脳裏に思い浮かんだのは御神木。
御神木の桜?
ぼやーっと浮かんだだけのビジョンは
強いイメージとなって、私の意識を包み込んでいく。