桜の木の下で-約束編ー






先導し続けていた金色の鳥が
ゆっくりと空を旋回する。



旋回する下では、和鬼が紅葉を抱くように
鬼狩の剣を突き刺していた。




「和鬼っ!!」




近づこうとする私に、
桜吹雪が邪魔をする。




桜吹雪が舞い踊る中、
和鬼は何かを紡ぎ、
琴を奏でて何かを歌っていた。




その姿は……何処か神秘的で、
幻想的で……私は見惚れるように、
その中で立ち尽くした。


紅葉が桜吹雪と共に
この地上から姿を消すと
和鬼はゆっくりと振り返って、
にこやかに微笑んだ。




そのまま崩れておちた和鬼の体。










膝枕をしながら和鬼を抱く私の元に
一枚だけ残されたの桜の花弁。




「和鬼っ。
 嫌、目を覚まして」



和鬼の体を揺すり起こした私の視界に、
初めて映し出された、和鬼の体。




袖をめくって和鬼の肌の色を
見つめながら驚きが隠せない。




珠鬼は、
人と同じ肌の色をしてた。



和鬼も同じだった。




あの前に鬼の世界から戻って、
本当の意味で契りの変わりに体を重ねた夜。


あの日見た和鬼は
透き通った雪のような肌だった。




なのに今目の前に広がる
和鬼の腕の肌色は、
真っ黒な闇が広がっていた。


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