桜の木の下で-約束編ー
とても新鮮で真新しいものへと
姿を変えていく。
羽衣を落とし、ゆっくりと
舞いながら歌を紡ぐ。
一夜の夢。
現世の夢。
プラチナの髪が柔らかに
たなびくたびに歓声が沸きあがる。
ボクが瞳を伏せると
悲鳴にも似た歓声が会場内に響き渡る。
ステージから、
何度も何度も咲を捉える。
時に歌い奏で、
時に歌い舞い踊りながら。
*
君、想ふ……
現世の仮初の世
夢、儚きて
永久【とわ】の契り……
*
ステージが
終焉に近づいていく。
桜の木が満開に咲き乱れ、
桜吹雪が舞い落ちる。
会場内全体が桜吹雪の
イリュージョンに包まれて
ボクはゆっくりと暗転の中、姿を消す。
暗転の中、会場内には鼓の音色だけが
静かに……鳴り響いていた……。
大歓声が湧き上がる。
ボクは軽く水分を補給すると
メイクを整えて衣装を早替えすると
アンコールへと向かう。
ステージ中央には、
ボクの相棒が調弦を変えて存在している。
ステージに再度、ライトが照らされる。