桜の木の下で-約束編ー
「そっか。
だったらもう言わない。
ただ、私は何時だって咲の味方。
咲の親友だから。
よっぽど依子先輩のやり方が目に余るようだったら、
一花に相談してみな。
咲の為だったら、
一花動いてくれると思うからさ」
遠くから聞こえてくる
一花先輩のいる、マーチングバンド部の
練習している音色がとても優しく心に響いた。
「うん。
その時は一花先輩にお願いするから。
有難う、司」
「まっ、無理しなさんな。
んじゃ、私、午後の部活が始まるから行くよ。
咲、話したいことが出来たら何時でも聞くから。
なんでも話なよ」
そうやって去り際に聞こえた司の言葉。
司の言葉が、何故かチクリと突き刺さった。
私……和鬼のことも、
YUKIのことも司に話してない。
司にすら話してない。
一花先輩には、伝えられたのに。
ねぇ、和鬼……。
和鬼の秘密、
私の大切な親友と共有してもいい?
和鬼の秘密を共有することが出来たら、
私の罪悪感も薄らぐと思うんだ。
罪悪感が私を孤独にしていくから。
心が折れてしまう前にラクになりたい。
誰かれ構わず話したいわけじゃない。