桜の木の下で-約束編ー
あれ?
どうして?
司の家の車……。
でもお祖父ちゃん、
司が来てるなんて言ってなかった。
だったら?
車内で待機している運転手さんに会釈をすると、
坂をそのまま駆け上がっていく。
息を弾ませながら、一気に駆け上がると
そこには私が望んだ世界があった。
桜の神木の枝に座るYUKI?
ううん、違う。
角を隠していないから、
あれは和鬼そのもの。
嘘、司と一花先輩……。
二人には、
和鬼が見えるの?
嬉しい反面、
ゆっくりと和鬼の表情に視線を移す。
和鬼はやっぱり悲しそうに見えた。
チクリと突き刺した痛みを残したまま、
私は、神社の影に息を潜めて
隠れるように様子を覗き見る。
和鬼……。
私が貴方を追い詰めてるの?
貴方と一緒に居たい。
そう望んでいるだけなのに。