子猫と私の恋物語
「たっ、たいが君・・・。それっていつから気付いてたの・・・・・・?」
私は、「つい最近。」と言う答えが返ってくることを祈った。
「・・・同じクラスになった時から」
たいがくんは、少しうつむきながら答えた。
・・・・・・終わった・・・。
そんなの、竜君気付いてる確率、100%だよぉっ!!
そんな私の心を読んだかのようにたいが君は
「でも、竜は気付いてないと思いますよ?鈍感だし。」
そ、そうか。そうだよね。
きっと竜君は気付いてないはずっ!!
たいが君の言葉に少し安心した私は、予鈴がなっていることに気付いた。
「たいが君っ、もう帰らないと授業遅れるよっ?」
たいが君もはっとしたように、
「そ、そうですね。次の授業、野外の班決めでしたっけ?」
「うん、そうだよ!とりあえず急ごうっ!」
私とたいが君は全速力で走った。
・・・・・・と言っても、サッカー少年と足のあまり速くない私とじゃ速度が違いすぎるから、たいが君が私に合わせてくれたんだとおもうけど。
・・・・・・優しいなぁ、たいが君。
こんなにも優しい人を私は振ってしまったんだ。
美香に、初めての、一つだけの隠し事。
・・・・・・大好きな美香に隠し事なんてしたくない。
でも、言える訳ない。
「美香の好きな人に告白された」なんて。
私さえ・・・私さえこの胸の苦しみに耐えれば・・・。
美香は幸せのまま。
それは分かっているのに・・・・・・。
美香に言いたくも、言いたくなくもない。
こんな気持ちは、いつまで続くんだろう?
そんなことを考えながら、教室の自分の席で、5時間目の始まりのチャイムを聞いていた。