子猫と私の恋物語
「あっ、た、たいが・・・!!」
その声の主の正体にいち早く気付いた美香が、慌てたように振り向く。
「あ、美香さん。」
たいが君は爽やかな笑みをうかべ、美香の声に応えた。
そして、すぐ私の方をむくと、
「もかさん。俺と同じ班になってくれませんか?」
と、やや恥ずかしげに言った。
(今言わないで~っ!!てゆうか、同じ班になるわけないでしょ!)
そう思い、断ろうとしたとき、美香が嬉しそうに
「もちろん良いよ!!ね、もか?」
「・・・うんっ、もちろんだよ!!」
あぁ、そうだ。
・・・美香は、たいが君が好きなんだった。
う~ん、やっぱり、告白された事、言った方がいいかな?
いや、でも・・・・・・・・・
そんな無限ループをしていたら、不意に美香が、
「あっ!あそこに竜君いる!!約束だから、誘ってきてあげる♪さ、いくよ!」
「ふぇっ!?」
美香に突然うでをつかまれ、変な声がでてしまった私。
真っ赤な顔のまま、竜君の席へ連行された。
「竜く~ん!」
やけに甘ったるい声で美香が竜君を呼んだ。
「・・・・・・何。」
いつも通りの暗い声+美香の声への苛つきでまるで威圧されているような気分になる私。
でも、美香は平気そうに、
「野活(野外活動)、同じ班になってくれる~?」
と、ニコニコしながら聞いている。
美香、すごいっ!!
でも恥ずかしいっ!!
そんな思いも、
「別にいいけど。」
という、神の声で全て吹っ飛んだ。
「よかったね、もかっ!」
「う、うんっ!」
私と美香は、ヒソヒソ話す。
そんな、幸せの頂点にいる私達は気付かなかった。
・・・・・・竜君の厳しい目線の先にいる、かわいらしい女の子が、爪を噛みながらこっちを睨んでいることに。