林檎姫は恋をした。



**


とある日の朝、城には見かけない青年が立っていた。


『……………クロが殺されたことは知ってる?』


奥様がその青年に話しかけた。


「はい。それは聞きました。

けれど、殺されたのですか本当に」


『そうじゃなければ自殺になってしまうわ』


「はい、そうなってしまいますね」

 
『けれどあなたを呼んでよかったわ。

自分であの子を殺しに行かなくて済むんだもの』


奥様は不気味に微笑む。


「はい。兄の敵は必ず」


青年は静かにそう呟いた。


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