林檎姫は恋をした。



「今日はもう……、失礼するね」


『えっ…………』


彼女の視線が僕の手元の林檎にいくのがわかった。


でも、白雪……。これを渡したら君は、


もう、この世に存在出来なくなるよ?


そんなこと、僕には出来ないからね。


「ごめんね」


そう言ってまた、白雪を見た。


「笑ってよ」


彼女の目を見つめる。逸らさずに。


すると彼女は引きつってはいたが“ニコ……”と笑った。


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