小さな死神
ぱりぽり。さえこは外のベンチでポテトチップスをついばんでる。
「なんで俺がはらわなけりゃならんのだろなぁ・・・。」
「いいじゃん。いいじゃん。つか、このポテチうまいよ。」
「ポテチじゃねぇの!あ!俺のコーヒーは?」
「そんなの自分で買ってこいよな。
あんたさぁ、あたしが何の関係も無く買い物したって思ってるの?」
「関係?何の事だよ。」
「やっぱあんたはアホだ!レジの人の名札見た?」
「レジの?むっちゃ無愛想だったおばちゃん?・・・見てない。」
「あの人、石原って名札だったよ。しかもおばちゃんじゃないよ。まだ20代だし。」
「石原優子かぁ・・・どうしてここに勤めてるって分かったんだ?」
「あのねぇ~。毎日おんなじ時間におんなじ店に来るってどういう事か分かる?由香のママには何か目的があるんだよ。買い物以外にね。
そんくらいわかんないの!探偵失格!」
また、失格って烙印押された。・・・本気で辞めようかなぁ・・・探偵。

「あたし、ここの店長に話聴いてくるわ。」
ベンチから立ち上がりかけたさえこを座らせる。肩に触っちゃった。意外に柔らかい。
「話?そういうのは俺の分野だから。何を聞けばいいんだ?」
「あんたにできる?・・・石川優子の勤務状況と先週から今日までの勤務日。ホントに大丈夫?」
「いいから。ここでまってな。」

店長は俺の出した黒い手帳を警察手帳と見間違いしたみたい。つか、それが狙いだし。
「えー石原さんは木曜以外は毎日、朝10時から夕方6時までですが、なんかあったんですか?」
「勤務記録は?」
店長はおどおどしながら紙切れを差し出した。
「これをコピーしてくれ。」
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