小さな死神
「着いたぞ。」
さえこの家の傍らしいところにヴェスパを止めた。板塀とブロック塀しか見えない。
「ごくろう。明日はがっこあるから4時にここに来て。」
「来てってどういう事だよ。まだやる気かよ。まぁここまで首つっこんだからしかたねーなぁ。
・・・後はオヤジに話聞かないと。
そういえば、さっき北村洋子は娘たちって言ってた。由香には姉妹がいるの?」
「あれ?あたし言わなかったっけ?由香に妹がいるんだよ。」
「妹?いくつ?」
「あんたさ、ロリコンなの?中2だよ。ま、ちょっと問題ありだけどね。」
「問題?何?」
「少し前まで不登校になってて、最近漸く通いだしたんだ。由香はずっと心配してて・・・。」
「そうか・・・。さえこはその妹の事調べといてくれ。」
「あたし、よく知らないし、あまり話した事ないんだ。」
いつものさえこの歯切れが無い。なぜ?
「分かる事だけでいいから。」
「・・・わかった。あんたはちゃんと由香のオヤジから話聴いとくんだよ。いい?わかった?」
「分かった。分かってるよ。」
「任せたから。じゃあね。」
さえこは胸の辺りで手を振ってる。離れて見れば結構かわいいなぁ~。しかし、あのしゃべりは・・・。
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