ちっぽけな奇跡のはなし
告白
次の日、学校が終わると急いで教室を出た。
「怒ってるかなあ」
カレの顔が思い浮かぶ。
カレの怒ったような顔は1度しか
見たことがない。
急いで階段を降りていると、健太に呼び止められた。
「ちょっと来て」
人気のない廊下に呼ばれると、健太が真正面に立った。
「昨日プレゼントありがとう。
妹、すっげー喜んでたよ」
「そんなの、全然!
良かったね」
運動場からは生徒の声が聞こえた。
「俺、ずっと好きな子いるって言ったろ?
あれ、お前なんだ」
健太は巴菜を見つめた。
「え?わたし」
「1年の時からずっと好きなんだ。
ゆっくりでいいから、
俺と付き合うこと考えてほしい」
巴菜がびっくりしたように健太を見ると、
健太は照れたように笑った。
「ごめんな。びっくりした?」
「びっくりしたよ!そりゃあ!
わたし、あの、えと」
そのとき健太に手を引かれ、すっぽりと
抱きしめられた。