ちっぽけな奇跡のはなし
笑顔
「あなたは私のことを優しいと言うけれど、
優しくなんてないの」
学校の近くの公園で2人で話をした。
「したいからしてるだけ。
すっごく自己中。
自分の気持ちを優先してるから。
あなたは違う。
人の気持ちを優先するでしょう?」
2人のあいだに風が吹く。
「それを本当の優しさだと言えると思う」
巴菜はカレに微笑んだ。
「違うよ。僕だってあの日」
「あの日?」
「キミが待ってても、
僕が来ない日があっただろ?」
巴菜が健太にプレゼントを買いに行こうと
誘われた日だ。