ちっぽけな奇跡のはなし






「キミは何も告げずに行方をくらました。
サヨナラも、何も告げず。
でも、お揃いの指輪はきちんと置いていったんだ!
これがどういうことだか分かるか!?」


男性はテーブルをバンっと叩きつけた。

お皿が一斉にガタガタと音をたてる。



「お、落ち着いてください!」

「ごめん」

男性は罰が悪そうに、巴菜から視線を外して
きちんと座り直した。



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