ちっぽけな奇跡のはなし
「キミと待ち合わせしててさ、
雨が降ってきたんだ。
でも、
約束の時間になってもキミは来なくてさ。
僕は近くで雨宿りして待ってたんだけど
向こーうの方から、髪を振り乱して走ってくる人がいて」
カレは思い出したのか、
また、あははと笑った。
「誰かと思ったら、キミだったんだ。
もう今のキミと同じ顔してたよ。
蒼白で、髪なんか気にせず走ってきて
『無事!?』って!
僕が何事かと思ったよ」