幼なじみと秘密の時間
「ちょっと、職員室にこい!」


先生は、男の腕を引っ張って
空き教室から連れ出した。



オレは、蘭の元へ走り寄って
蘭を抱き締めた。



「蘭、ごめん。ごめん。
怖かったよな?」



未だ震えている蘭の体を、もっと力を入れて
キツく抱き締めた。




「…うっ…うっ…」



蘭は、オレの腕の中で静かに泣き始めた。




「来るの遅くて、ごめん。

もう、大丈夫だからな」




蘭の背中を、ゆっくりとさすった。




「和弥…怖かったよ…」



「うん、もう大丈夫だよ。
オレがいるから」




オレは、ゆっくりと蘭の体を離して
蘭のことを見つめた。



ポロポロと涙を流しながら、オレのことを
蘭も見つめる。



ゆっくりと髪の毛を撫でて、大丈夫だよと
何度も言った。







< 137 / 254 >

この作品をシェア

pagetop