おくすりのじかん
ピンポ~ン


私は玄関に出た。
近所の人たちが数人 焼香にやってきてたから


「はい」扉を開けると


「あら?」
礼服姿の茉鈴が立っていた。


「安達さん・・・・・」


「あ うちは家族みたいなもんだから……」
あんまり驚いた表情だから思わずあたふたした。


「誰?」正也が来た。


「あ わざわざ来てくれたの?」


「本当はお式にも参列したかったんだけど
ごめんなさい・・・・」

本当に悲しそうな表情を見せているけれど
私には大げさな演技に見える。
負け惜しみか・・・・私・・・・。


「気にするなよ
今日は忙しい日だからチーフとかにも
遠慮してもらったんだ」


「お参りさせてもらえる?」


「ああ どうぞ」



身のこなしは完璧だと思った。
普段もお客との関わりが多いせいか余裕って感じ。


「かあさん 同僚の・・・・・・」


茉鈴を紹介する声を遠くで聞いていた。
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