おくすりのじかん
茉鈴が持ってきた美しく豪華な花が
祭壇に飾られた。


「綺麗なお花ありがとうございます」

正也のママはすっかり気弱になっていて
多分こんな状況じゃなかったら
上から下までしっかりと観察しただろうに

「もっと違う形で早くお会いしたかったのに
残念でたまりません」


大きな目を潤ませる。


母親に腕を引っ張られた。


「何?同僚ってあんたも知ってるの?」


「うん同期」


「正也の何?」


変のことを言ったら大変だから


「私は知らないよ」と答える。



「あれは………なかなかのやり手だね」


母親の言葉に吹き出しそうだった。
さすが


自分の親だなって


茉鈴にはついついしたたかさを感じてしまうところは
この親にしてこの子あり


みたいな・・・・・・。


いつしかそんなうちの両親までまきこんで
したたかな茉鈴はすっかりその輪に入り込んでいた。


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