おくすりのじかん
母親も口ほどにない
もっと活躍してくれると思ったけど

茉鈴のしたたかさに

「うちの娘に少しでもその 可憐さ分けてほしいわ」まで言ってる。


茉鈴は静かにうつむくだけで
年よりはダメだな・・・・・・。


なんとなく居づらくなってきたから

誰もいなくなった祭壇に手を合わせた。

「パパ……帰るね……
私のことも見守っててね
ママのことは ウチの親もいるから安心して
正也も頼もしいし大丈夫だよ」


鼻の奥がツンとして
また涙が流れた。


茉鈴から離れて スマホを見ていた正也に声をかけて


「帰るね」と言った。


「ありがとな 疲れただろ?
早く寝ろよ」

正也の目だって真っ赤だよ・・・・・。


外に出て歩き出すと 正也が追いかけてきた。


「ほら 忘れ物
帰ったら食べろ」


折を持たせてくれた。

「正也も……おつかれさま」


真っ赤な目にそう声をかけた。
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