おくすりのじかん
正也との会話に夢中になっていたけれど
相変わらず後ろから聞こえるのは 甲高いメーリンの声のみ


「そろそろ行くか」正也が言った。


「あ うん」


テーブルのボタンを押すと 若い初老のウェイターが静かにやってきた。


「ごちそうさまです」
正也が伝票を渡すと

「店が込み合ってますので こちらの出口からお願いします」
そう言って VIPのドアを示した。


さっきから言葉を発さない男を見られると
私はとても興奮した。


だってモデルなんかいう鼻っ柱高そうな女に
ヘラヘラしてなくて とっても素敵だから

かえって メーリンの方が 気を使ってる様子


美しい女の思いどおりにならない男に興味深々~


正也の後ろをついて歩き その席に近づくと


うわ・・・・オーラーだ・・・・!!
メーリンって 顔ちっちゃい!!!

大きな目がくりくりしてて ちょっと茉鈴に似てる?
って思うだけで


嫌いだわ・・・・という感情が湧き上がる。
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