おくすりのじかん
「約束だ」


その指に自分の小指を絡ませた。


凜太郎が

「指切りげんまん 嘘ついたら 針千本のーます。
指切った」


って歌った。


行かないで
ここにいて・・・・・・


喉から声が出そうになっているのを
必死に抑えるのは


凜太郎の夢を邪魔してはいけないと思うから。


「応援してるからね」



「ありがとう」
凜太郎は今までで一番最高の笑顔で私を見つめた。



「祥子さんに応援してもらえるなんて最高だから
頑張るからね」


引き止めるなんてできない・・・・・。



この空間から 凜太郎がいなくなる
何の決意もないまま 突然に・・・・・・・



「最後のお願い聞いてほしいの」


その切なさが押し寄せる前に
私の口は とんでもないことを言い放っていた。




「ん?いいよ。
俺にできることなら」



私は凜太郎に抱きついて


「最後の治療がまだ終わってないから・・・・・」


凜太郎の顔を見るのが怖かったけど


「私を……女にしてください」そう呟いていた。
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