おくすりのじかん
「俺の顔見て」


厳しい声だった。


「だから ごめんって……」


私は背中がもう丸くならないくらい丸くして
顔を床に埋めた。



「祥子!!!」


きつい声だった。
うるさいうちの母親もこんな怖い声は出したことがなくて



思わず私は顔をあげて 凜太郎と目が合った。


「ごめんなさい。
綺麗な彼女がいるのに バカなこと言って・・・・・
優しくされて調子に乗って……」



「え?彼女?」



「メーリンと・・・・付き合ってるんでしょ?」



「話が違うとこに行ってる」


やっと穏やかな凜太郎に戻ってきた。



「メーリンがいるのに私を抱いてなんて
凜太郎がそんなことする子じゃないのに………」



「そうだよ
俺はそんなことする男じゃないよ」


「ごめんなさい」


「もういいよ 謝らなくて
わかってくれたらいいよ」


喜んでいいのか何なのか
いつもの凜太郎が微笑んでいる。


「祥子さんにそんな風に思われてたなんて
めちゃ ショックだったから・・・・・・」

繊細な指は私の涙をそっと拭いてくれた。
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