おくすりのじかん
「おしま~い
聞いてくれてありがと」


男はそう言うと ギターをケースに入れ始める。


「あ ありがと
ね?なんかお金とか入れるとこあるの?」


「ないよ~俺 別にお金に困ってないんだ」


「そうか
ありがと 何かすごく感動しちゃって……」


「おねーさん
何か辛いことでもあった?」


男はまだ下を向いてて 顔はよくわからない。


「おねーさんって・・・・
私より年上だったら ただじゃおかないから」


年より老けてるって言われる・・・・
この男も 私の年齢かなり上に見てるんだろう



ダメダメ 見知らぬ人に
八つ当たりしちゃ・・・・・・・暴れないうちに帰ろう


完全に足にふらつきがきてる
ちゃんと帰れるかな・・・・・・・

私はフラフラと歩き出した。


その時だった

「傷ついた貴女の心癒します」


そう言って私の腕をとった男は あの日の子犬の目によく似ていた。


「犬・・・・・・」なぜか意味不明におかしな言葉を発して
それから私の記憶は飛んでしまっていた。
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