おくすりのじかん
「スーツとかさ もう一着くらい買ったら?」


就活時に買ったリクルートスーツに
コロコロをかけている私に凜太郎が言った。


「私服もさ……」


「いいの いいの~
OLじゃないんだし なんてったって現場だから」


「いざって時にさ
今度一緒に見に行こうよ」


「いざなんてないから~」


「いざということがあるように俺は
日々祥子さんの治療をしてるんですけどね~
そこ否定されてると
俺の腕が悪いみたいだ」


「凜太郎じゃないよ
私が悪いんだから……ごめんね
あんまりいいモデルじゃなくてさ」



凜太郎から毎晩受けるマッサージで
私の肌は本当に見違えるほどよくなっていたけど
それを披露する現場は
おばちゃんたちしかいないし・・・・・


「俺が祥子さんを磨いて磨いて
輝かせるんだから 祥子さんは俺の言う通りに
してればいいんだよ」


「うふふ・・・・・
頼りにしてるよ 凜太郎~」


凜太郎のフワフワな髪の毛をグチャグチャにするくらい
力いっぱい 撫ぜてあげた。
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