おくすりのじかん
凜太郎のまつ毛は 男なのに上を向いている。


「いいね~凜太郎のまつ毛」


前はこんな至近距離なら まともに顔も見られなかったけど
今は こうしてマジマジと観察もできるようになった。


「男としてはこれって
コンプレックスなんだよね
俺はもっと男らしい顔に生まれたかったって
何百回も思ったよ」


「意外!!!凜太郎にコンプレックスなんて
ないと思ってたよ。だってね イケメンじゃん 自分!!
本当はモテるでしょ?」


「モテるよ~でも今はそんな暇ないんだ」


「こんなとこでこんなイケてない女に
無駄な時間使って いいの?」


それはいつも思っていることだった。


「祥子さんと一緒にいることはさ
俺にとってもプラスなの。
だから心配いらないから~ほら口閉じて」


「あんまり気合入った顔にしないで~
恥ずかしいから~」


「大丈夫だって~祥子さんが一番輝く
メイクに心がけます~」


「大丈夫って言うんだから
大丈夫だね~」

凜太郎の大丈夫って言葉は魔法の呪文だもんね。
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