おくすりのじかん
久々に正也からの連絡があったのは
研修前日のことだった。


仕事が休みだった私は ちょうど帰ってきた凜太郎と
夕飯を楽しく食べていた。


「正也から」

久々の正也に 興奮隠せず
失恋してるのにバカだけど・・・・・


早く出てと凜太郎は合図する。


「もしも~し 祥子~生きてるか?」

正也の声に 心の炎は再燃している。


「生きてますよ」

わざとに気のないフリをする。

「明日 研修だな~どう うまくやってるか?」


「うまくとか別にないよ。
ただ揚げ物あげたり おばちゃんにいじめられたり……
何で惣菜なんだろ……」


「だってずっと惣菜だったじゃん
その道プロだろ~絶対ヤル気になれば輝くだろ?」

正也の意識の高さ

「輝かないよ」


「相変わらずだな~」
正也はゲラゲラと笑った。


「正也はどうなの?かなり期待されてるらしいね」


「俺 世渡り上手だろ。結構そういうのに
燃えるタイプだからさ。でも 嘘ばっかだ・・・・・
自分の本心かくして 大変だ」


正也の声も沈むほど

「社会人って大変だね・・・・・」と言った。
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