3つかぞえて、君と青
譲は相槌をうって、わたしをせかしたりはしない。
ただ黙ってじっと、わたしの声を聞いてくれる。
「わたしは最近あの夢をたくさんみるの。高校の頃のこともたくさんたくさん思い出すの。
考えても答えが出ないこともわかってる。
でもどうしても背中をむけることができないの。
でも千樫はちがう。
彼はそんなことなんかもう忘れてしまったみたいに
ちゃんと今を生きているかんじがするの。
彼が辛いのもわからない訳じゃない。
でもそんな千樫の姿に腹が立つこともあるし、
眩しくて目をそらしたくなることもあるの。」
わたしは本の固い表紙を撫でながら話した。
「千樫は忘れてしまった訳じゃないよ。」
譲はわたしを諭すような口調で話はじめた。
でもそんな譲も今のわたしは気に入らなかった。