私立聖星魔法学園
「では大助くんの支度はできたので今度は恵さんの家に行きますか」




「ちょーっとストップ!」




さっさか部屋を出ようとする聖夜を襟首を掴んで引き止める




「行くのはいいけど大助ママはどうやって説得すんの?記憶は消さないって言ったじゃん」




「それは大丈夫です。安心してみていてください」




ニコリと微笑むと大助のリュックの半分を持って部屋を出て行く



慌てて残りの荷物を持ちながら大助と一緒に部屋を出て聖夜を追い、階段を駆け下りる





階段を降りた先には聖夜と大助ママの二人が楽しそうに話していた




「あ!大助!」




こっちの存在に気づいた大助ママは笑顔で大助を見る




しかしすぐに怒った顔を作った



「あんたなんでこんな大事な事黙ってたの?」




「は?なんのことだよ」




「留学の話よ!数年間外国に留学だなんて聞いてないわよ」





おそらく聖夜が適当に説明したんだろう




だがアドリブでここを回避できるほど大助に演技の素質はない




「え、あ、いやーそれは・・・そのー・・・・・」




完全に頭の中がプチパニックを起こしていた




「まあ、あんたがやりたいことがあって行くなら止めはしないけどね」




「へ?」




あれこれいい訳を考えていた大助が間抜けな声を上げる





「聖夜くんの話だと学費とかは学校側が援助してくれるっていうし、父さんには母さんからちゃんと説得しとくから。」




「い、いいのか・・・?ホントに・・・・・」




「あったりまえでしょ?息子のやりたい事を親が無理やり止めるなんて私がするわけないじゃない。だから―・・・」





優しく微笑んで言った





「いってらっしゃい」





その一言にはおそらくたくさんの意味が込められている




そしてその意味がわかるのは大助だけで・・・





「・・・いってきます!」



またこの一言にもたくさんの意味が込められ、それがわかるのは大介ママだけ





そんな親子は見ているこっちが温かい気持ちになる





(なんか・・・いいな・・・・・)





自分にも親がいたらこんな感じなんだろうか




知りたくても一生知る事のできない疑問を胸の奥に仕舞い、あたしたちは外に出ると聖夜の魔法で再び空間を移動した
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