私立聖星魔法学園
「っ着いたー!」



次に目を開けたときには自分の家の玄関にいた




「ホント魔法ってすごいのねー」




「練習すればできるようになりますよ」




そんな会話をしながら奥にあるあたしの部屋に向かう




「そういえば、ご両親は?」




「あ、バカ!」




聖夜の質問を大介が止めようとしたがまる聞こえだ





「両親はあたしが小さいときに事故にあってあたしを守って死んだの」




今までにも同じ質問を受けることがあったため、答えるのに躊躇はなかった





「そ、そうだったんですか・・・すみません」




「謝んないでよ、そんな風に落ち込まれる方が困るって」




一気に暗い顔になった聖夜に思わず苦笑してしまう




「今じゃ両親がいないことが当たり前になってるし、小さいころすぎて全然両親の記憶がないんだよね」




自分ではなにも気にすることではないのだが、聖夜はもちろん理由を知っているはずの大介まで暗い顔とオーラを放っていた




「ちょ、ちょっとなにそんな落ち込んでんの!?別に平気だしおばあちゃんがいるしさ!ほらきびきび歩く!」




本当は唯一の家族であるおばあちゃんも老後施設にいて家にはいないことは黙っておく



このことは大介も知らないことだしね




今だ暗い表情のままの二人を引っ張り自分の部屋の入り口に立つ




「じゃ、5分で支度しちゃうから二人はここで待ってて」




「なんだよ。俺らも手伝うぞ」




「女の子の部屋にズカズカ入り込もうとするな!いいからここで待ってろ!!」




女心が全くわかっていない大介を蹴り飛ばし一人だけ部屋に入る




扉の向こうから「なんだよー」という大介の声が聴こえるが無視して支度を始める





洋服や日用生活品、男には見られたくない下着類や生理用品を大きなカバンに詰め込んでいく




(こういうのがあるから部屋にいれなかったのに、あんのバカ!いつまで文句いってんのよ!?)




さっきよりも大きな声で扉の向こうから大介の文句が聞こえてくる



そんな大介を落ち着かせようとする聖夜の声も聞こえる





『なんで俺の部屋にはアイツは入って、俺らはアイツの部屋に入っちゃいけねえんだよ!人数多いほうが支度も早く済むだろうが!』




『女性にはいろいろと男に見られたくないものがあるんですよ』




(全く聖夜の言うとおりだっての。なのになんで大介はそれがわかんないのよ!)




扉の向こうの会話を聞いているうちにだんだんイラついてきた




そのイラつきを抑えながら急いで支度を進める
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