私立聖星魔法学園
「はい、二人共つきましたよ」




ニッコリ笑顔で振り返りながら言う聖夜





しかし―・・・





「っふざけんなよテメェ!!今のどこが『ちょっと』だ!!」





大介は叫ぶなりヘナヘナァとその場に倒れこむ





「だ、大丈夫ですか!?」





「この状況みて大丈夫なわけないでしょうが・・・」





あたしはというと大介のように叫ぶ気力もなく、絨毯の上に突っ伏したまま顔だけ動かす






「すみませんでした・・・。でも急がないといけなかったので・・・・・」






「だったらもうちょっと詳しい説明が欲しいんだけど!?『めっちゃスピードでますよ』って言えばいいだけじゃん!!」





「大介・・・聖夜はめっちゃとか言わないから」





くだらない指摘をしながらなんとか立ち上がると周りを見渡す






「ここは?」





目の前には聖夜





その後ろには見上げるほど大きな門がある






その門に沿うようにこれまた見上げるほど大きい壁が左右にずっと続いている






「学園の裏門です」






サラリという聖夜の言葉に驚く






「こ、これで裏門!??」






正門でも十分な大きさなのにこれが裏門ということは・・・






(正門ってどんだけデカイのよ・・・)







心の中で呟いていると聖夜は申し訳なさそうに微笑みながら






「本当は正門から入りたいんですが、今日は急ぐのでここからでお願いします」





「それはいいけど・・・今からどうするの?」






「今からはお二人のクラスを決めて、担任の先生に挨拶をします。あとは教室を見てもらいます」






「あれ?それだけ?」





(あれだけ急いでたからもっとやる事があるのかと思った)





大介も同じことを思ったらしくガバッっと立ち上がる





「そーだそーだ!それだけだったらもっとゆっくりできただろうが!」






大介の目に涙が溜まってるように見えるのはたぶんあたしの幻覚ではないだろう






「まあいろいろあるので・・・」





大介の目を見て苦笑しながら聖夜が指を鳴らすと、地面に広がっていた絨毯が静かに浮かぶ






「荷物は僕が運ぶのでついてきてください」






聖夜が門に手をかざすと、ギイィという重々しい音をたてて門が開いた






そのまま中に入っていく聖夜の後ろをあたしたちは早足で追いかけた
< 45 / 68 >

この作品をシェア

pagetop