~D*A doll~
でもそこから出てきたのは冬夜ではなく_______。
「…………あ、咲哉くんいたぁ」
なんと、魔女であるサラさんだった。
「……………は?」
思わず声が漏れてしまう。
………何で、彼女がここに________?
豊満な体のラインがくっきりと分かる服を身にまとっていて、高いヒールを履いている彼女。
胸はバックりと開いているし、短いスカートから足が惜しげもなくさらされている。
以前会った時よりも、確実に綺麗になっていた。
そんな彼女はヒールの音を立てながら俺の傍へと寄ってくる。
「さぁくぅやくーんっ!」
そして、俺の腕を取って自分の腕に絡ませた。
…………え。
「聞いてくれる?冬夜、ちょっとあたしが顎蹴ったぐらいで気ぃ失ったんだけど」
でも初めて冬夜に蹴りが当たったんだけどね、なんて平然と言っている彼女。
あの冬夜に蹴りを入れて無事でいられるのは、彼女ぐらいだろう。
「な、なんでサラさんが……」
「だから、冬夜の変わり?大丈夫、暫く目が覚めないように気ぃ失っている上に睡眠薬打って来たから。下手したら呼吸止まっちゃってるかもだけど」
くすり、と笑った彼女に思わず見とれてしまう。
だが言っていることは本当に物騒だ。
いつか、冬夜が彼女に拳銃を突き付けられたと現実味のないことを愚痴っていた気がした。
「________で?要件って何?」
………………………すごく、めんどくさいことになってきた気がする。
しかし今はそんなことに気を取られている場合じゃない。一刻を争う事態だ。
「…………誰か、闇医者を知りませんか?」
こう問うと、んー?と考え出したサラさん。
「…………知ってるケド、高くつくよ?闇医者じゃないと駄目なの?免許ちゃんと持ってるけど、あたしのツテで闇医者まがいな事をする医者紹介しようか?」
……………医者にまで人脈があるなんて、本当どこまで凄いんだろうか。
「まぁあたしの名前を出せば、どこの病院も何でもやってくれるからね」
ホッと一息つき、彼女が腕に絡んだまま後ろを向く。
この手を振りほどくほど俺は立場が強くない。
たかが族の副総長を以前やっていたというだけで、今は教師。
裏の世界では強い人脈がいくつかあるだけで、俺自身に権力があるわけではない。
だから彼女を怒らせたらひとたまりもない。
唖然とサラさんを見ている4人に声をかける。
「……莉々香と龍翔呼んできて。で、車用意して乗せて」
「…………莉々香?」
ぽつり、と横でサラさんが呟いた。