シリウスのかけら
「里乃ぉ」

「涼子ぉ…、『無事に』って、こういう意味だったって事?」

「そうらしい」

事故とか、病気とかじゃなくって、東郷の魔の手から、シリウスを守り切って『無事に帰って来れますように』だったんだ…。
里乃がベッドから上体を起き上げる。

「…涼子」

「ん?」

「柳沢さんの事、恨んでる?」

え?恨む?柳沢さんを?
それはぁ…。

「全然っ」

なんで、恨まなきゃ、いけないのよ。恨んでるわけないじゃん。

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