シリウスのかけら
「ここだよ」

柳沢さんは、服の下から、首元の皮の紐をツツッと引っ張って、お守り袋を取り出す。

あ、私たちが預かったのと同じだ。

「ほら、これが本物」

柳沢さんは大事そうに丁寧に扱いながら、中身を取り出す。

「わっ!」

思わず声をあげてしまったほど、その『本物』のシリウスのかけらは、力強く銀色に輝いてた。

「これが、本物…」

新谷さんも高木も、瞬きするのすら忘れる程、じっと見つめてる…。

「…じゃ、シリウスの寿命が尽きるっていうのは?」

新谷さんが柳沢さんの顔を見た。
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