シリウスのかけら
「ねぇ、涼子」

「ん?何?」

里乃は国会議事堂への入口付近の人だかりをじっと見ながら歩く速度を落とす。

「あの人たち、なんか、怪しくない?」

「そう?どこが?」

私にはよく見えないけど、里乃って、視力2.0なのよね。

「なんかさぁ、皆、必要以上に、真っ黒じゃない?」

「まあ、確かに」

だんだん近づいてきて、私にも見えてきた。確かに、男の人が十人ぐらいいるのに、全員が全員、真っ黒のスーツ姿。

< 74 / 265 >

この作品をシェア

pagetop