桜田くんの第一ボタン

「清水、上手いんだな。ありがとう」



ありがとう、と言った時、桜田くんの目元から鋭さが消えていた。

柔らかい雰囲気の彼。



クールだとか大人だとか、色々言われている彼のみんなが知らない面を知れたことは……なんだか嬉しい。



笑顔で応えると、一瞬目を丸くされる。

だけど、すぐに笑いかけられた。



桜みたいに儚くて、ふとした拍子に掻き消えてしまいそう。

そんな小さな小さな笑み。



桜田くんは、始めは冷たく思えるのに違うんだ。

柔らかくて、優しくて……。



恐い？

そんなことあるわけないよ。



さっき初めて話したばかりなのにおかしいかな。



わたし、あなたが────好きです。