桜田くんの第一ボタン
三年生に入って初めの頃に行った親睦のための遠足。
桜田くんは、お土産を選ぶのに手間取っていたわたしたち女子に文句を言う男子を宥めてくれた。
あとでお礼を伝えると「欲しいものが買えたみたいでよかった」って。
それだけ言って、掠めるように頭に触れて撫でてくれた。
それに、千果ちゃんに冗談で肩を押されてふらついてしまった時は、偶然わたしの近くにいた桜田くんが支えてくれた。
頬に触れた第一ボタンの冷たさと、桜田くんの胸の熱さ。
鼓動が聴こえるほどの距離にそのあとも慌ててしまったんだ。
その他にも何度も桜田くんには助けられた。
悪いなぁとか、恥ずかしいなぁとか。
色々思うことはあるけれど、それくらいしか関わりを持ちにくいからちょっと嬉しいんだぁ。