桜田くんの第一ボタン
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入学式が無事終わっても、クラスにはまだ話せる人がいなくて、わたしはひとり校内を散策していた。
放課後の校舎を歩きながらすこし虚しくなる。
初日だから友だちがまだいなくても、仕方がないよね。
でも、明日こそは誰かに話しかけないとなぁ。
人見知り、なんて言っていられない。
大抵の人が教室内に知り合いがいないんだから自分から頑張らないと! と気合を入れる。
学年が上がるたびに階が下がるのは中学と変わらない。
職員室は二階で、教室のある棟の向かい側。
だから渡り廊下を通らないといけないみたい。
ふむふむと脳内に地図を作っていく。
ふたつの棟の間にある中庭に着いた時、マナーモードにしたままだったスマホが震えた。
珍しいな、千果ちゃんからだ。
桜の木に触れられるほどの距離でそう思って電話をとって……。
そして、わたしは桜田くんが告白されたことを知ったんだ。