桜田くんの第一ボタン
「好きな人がいる、の」
きっとこれからも好きな人が。
そんな人がいることを彼には伝えなければいけないと思った。
だって、告白する時に初めて見た時から好きだったって言ってくれた。
ずっとそばにいたいと言ってくれた。
そんな彼には本当のことを伝えなきゃいけないでしょう……?
「咲良は言わないの?」
それはきっと〝好き〟という言葉のこと。
彼らしい真っ直ぐな瞳を向けられる。
綺麗すぎて、思わず逸らしてしまう。
「後悔しない?」
びくりと肩が震えた。
後悔なんて、一年前から。
川崎くんと仲よくなる前からしている。
わたしは今度こそ……、
「好きって言いたい────」
涙が、頬を伝った。