桜田くんの第一ボタン




きっと千果ちゃんにはボタンを貰った話をしていたから、勘違いしてしまっていたんだね。

それは確かにわたしのせい。



でも、桜田くんは、やっぱりと言うか当然のことだけどモテるから、こんなこと予測できたはずなのに……。



付き合っているなんてとんでもない。

わたしと彼はただ、ボタンだけの関係だった。



仕方がない。

当然。

そんな言葉が何度も頭を駆け巡る。



あの時の記憶や想いは、大切で淡く儚い。

だから思い出すと、苦しくて、消えてしまいそうで、恐くなる。



いっそのこと消してしまいたいほどの幸せ。

それをわたしは結局手放すことなんてできないけど。



だけど!






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