桜田くんの第一ボタン
サクラ、舞ウ。
二年生になって、始業式もなにもかも終わって、日常が戻ってきた。
授業を受けていると、窓から柔らかい光が射してきてなんだか眠くなってくる。
首をふるりと横に振り、隣の席に視線を向けると、真面目にノートをとる川崎くんの姿。
わたしはと言えば、粗方書いてふぅ、と息を吐いたところ。
視線に気づいた川崎くんの笑みを受けて、かすかに頬を染めた。
窓際の席のわたしは左に目を向けると、空と渡り廊下とその先の校舎、そして中庭が見える。
外では風が吹いたのか、淡い桜が舞っていた。
それはまるで二年前──わたしが中学三年生になったばかりのこと。
桜田くんと初めて話した時のようだった。