桜田くんの第一ボタン




今日は放課後も図書室で過ごしていた。

閉館時刻の五時になって、忘れ物をしていたことに気づいてしまい、二階の自分の教室に戻った。



誰もいないと思っていたのに、中に入ると人影がある。

よくよく見てみると、その影はわたしでも知っている人。



「桜田、くん……?」



声に反応した彼は、学年で……いや学校で一番かっこいい、なんて言われているクラスメートだった。



黒髪はどんな手入れをしているのか訊きたくなるほど、さらさらのストレート。

少し骨張った手は男っぽいけど、線は全体的に細い。

甘めの顔立ちなのに、瞳は冷たく鋭くて、それがまた素敵。

イケメンと言うよりは……とても綺麗な男の子。



桜田くんのことをちゃんと見たのは初めてだけど、彼がモテている理由がよくわかるなぁ。






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