Flower∞kiss!~幼なじみと同居中~










いやいや…





いくらアメリカに八年住んでいたからって…


日本にそんな文化はないゾ!!








「……やめて」




耳元でそうつぶやくと、慶人はすんなり離れた。



なんだ、八年逢ってなくても覚えてたんだ♪



私が怒ったら怖いってこと。




「いや、だって久しぶりだから、つい」




「ついじゃないから。まぁ…全部話してくれる? 意味が分かるように」




「うん、まそうだね!」




慶人は納得したご様子で、ここに来るまでを話始めた。




「この前、父さんが言ってたんだ。『倒産するかもしれない』って。だけど、そんなの、嘘だろー! と思って気にしてなかった。だけど、それは本当だったみたいで…なんかあるじゃん? 大人って色々。それでまー…俺もよく分かってないんだけどとりあえず倒産したんだ!! 家も全部売り払われて…家具もなくなって…俺は住む家がなくなったってわけ」




…――いや、おいお前…。




ニコニコしながらものすっごい衝撃的なことをずらずらとまくしたててる…。








家がなくなった、とか普通そんなトーン
で言わないでしょ…。




「で、父さんと母さんは何とかしなきゃって思ってるみたいで、今向こうで色々頑張ってる。何やってるかは分からないけど!」



向こう、っていうのは多分アメリカのこと。




慶人は九歳の時に、両親に連れられてアメリカに渡った。




慶人のお父さんはとっても大きな会社の社長さんで、本社をアメリカに移転したから。





とても寂しかったのを覚えてる。




それから八年間、十七歳になるまで一度も連絡も取っていない。




「母さんが『伶果ちゃんのとこに行きなさい! 伶果ちゃんママには連絡したから! 悪いけど慶人はそこでお世話になって』って言ってたから俺は帰って来たの」




「…え………」




お母さん、何も言ってなかったんですけど?!




あらら、どういうこと?



知らなかったのは伶果ちゃんだけですかい??





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